山根亜希子のFXがよくわかる

山根亜希子のFXがよく分かる

第5回:金利をちゃんと理解しよう その22008年2月04日

金利の動きについてFXのトレーダーは非常に敏感です。それは、スワップの受け取りや支払いが増えたり減ったりするからという単純な理由以外にもっと重要な意味があるからです。

その理由とは、金利の変動によって通貨の強弱のバランスが変わるということです。

強弱のバランスが変わると、例えば今までドル→円(ドルを買って円を売る)という流れだったものが円→ドル(円を買ってドルを売る)という逆の流れに転換してしまい、急激に円高が進んでしまいます。

一般的に、預金をする人は少しでも利子がたくさんもらえる銀行を選びます。日本国内においては利率にそれほど差がないので、どこで預金してもあまり変わりませんが、外貨預金になると、国によって金利が異なるため、どの国の通貨にするかということは非常に重要です。

ですから、投資家の心理としては、これから金利が上がっていく通貨に積極的に投資するというのが合理的な行動になります。逆に、これから金利を下げてくる通貨は投資先としてはあまり有望とはいえません。

金利というのは、金融商品を運用する上での基本です。高金利通貨は変動率が高いというリスクもありますが、それでもやはり安定した利回りを求めるのが投資家なのです。

前回のコラムでもお話したとおり、そもそも金利を下げている国というのは、景気がよくないのです。景気が悪くなってきたので金融緩和政策に移行してきているわけです。それは、少しでも金利を下げて、企業の借り入れコストや個人のローンの返済金利を低く抑えることで、景気を持ち直したいと考えているからです。

となると、金利を下げていく国(景気の悪い国)に投資しよう考える海外の投資家は減ります。この結果、国に入ってくるお金が減るため通貨の価値(他の通貨に対するレート)も下がってくるわけです。そうなると、ますます下がりだした通貨を売ろうという動きが加速します。

一度この流れに入ると、負のスパイラルがおこって、数年程度その通貨は下がり続けるという通貨のトレンドができあがるわけです。

通貨のトレンドを見る基本として、今後金利を上げる可能性が高いものは買われ、今後金利を下げる可能性が高いものは売られるということは覚えておいたほうがよいでしょう。

では、実際に今、金利を下げている国はどこでしょうか?

ずばりアメリカです。

アメリカは、07年8月のサブプライムショック以来、金利をどんどん下げています。また、今年はさらに下げると予測されています。この利下げがドル売りトレンドを形成しているといえます。

そしてアメリカ以外に08年注目されている国はイギリスです。こちらも金利が下がってきており、おそらくさらに金利を下げるでしょう。最近のポンド安は、こうした利下げが大きな要因です。
その他には、アメリカと陸続きのカナダも不景気の余波を受け利下げに踏み切ったため、今後、カナダドルもレートが下がっていく可能性が大きいと、注目されています。

このように、基軸通貨であるドルの利下げは多くの国に影響を与えます。日本がなかなか利上げできない理由もアメリカが利下げを始めたからです。

日米の金利差が縮小すると、今までドルを買えばスワップがかなりもらえたのが、そうでなくなってくるために投資家にとってはドルに投資する魅力が薄れます。仮に日本の利上げが進み、アメリカの利下げとなると、海外から日本へ資金が多く流入し、円高に拍車がかかることとなるのです。

急激に円高が進むと、日本の輸出国先であるアメリカの購買力の低迷を招くため、逆に日本の景気の悪化につながります。

本来なら07年中と思われた日本円やユーロの利上げの時期がずれてきているのは、アメリカが利下げしたことが大きな要因となっているのです。

金利と通貨価値(レート)と輸出入の関係は、ちょっと複雑ですが、しっかりと理解しておくことが大事です。

≪次回予告≫
FX取引が面白くなったいちばんの理由
山根亜希子
1973年大阪生まれ
京都工芸繊維大学繊維学部高分子学科卒
サイエンスライターとして6年間東京勤務(文部科学省記者クラブ所属)
科学技術関連の記事の執筆などを行う。
その後、大阪に戻り失業中にFXを始める。
現在、(有)ユビキタストレーディング代表。
趣味はアロマテラピー、海外旅行

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