山根亜希子のFXがよくわかる

損切り機能を使ってリスクヘッジ

第8回 : 損切り機能を使ってリスクヘッジ2008年3月17日

投資の世界では「損切りはしないといけないもの」という概念が一般的です。

損切りとは、損失を確定することで、FXでは逆指値などの注文方法を使って実施するのが基本となります。逆指値とは、現在のレートよりも“高い値段になれば買う、安い値段になれば売る”という、売値・買値をあらかじめ指定しておく注文方法で、FX取引における重要なリスクヘッジ機能のひとつです。

各社が提供しているリスクヘッジ機能は、使いこなせるようになると非常に便利なのですが、初心者の場合はいつ損切りをすればいいか分からず、結局タイミングを逃してしまったという人も少なくはないようです。

では、損切りをするタイミングとはどのようなときなのでしょうか。

答えは“相場の流れが大きく変わったとき”です。

相場の流れが大きく変わる場合、その流れは数週間程度、続くことがほとんどです。その間ずっと含み損を持ち続けるのは精神的に辛いですし、レバレッジのかけ方によっては、少しの相場変動で証拠金の余裕がなくなり、持ちこたえられなくなる可能性が出てきます。

証拠金が一定のラインを下回れば、当然、追加証拠金や強制決済などの心配をしないといけなくなり、精神的な負担がさらに重くなってくることになります。

つまり損切りは、突然の相場変動であたふたしないためにも「○円下がったら実施する」とラインを引くことはもちろん、自分の資金量を考えて行うことも大切なのです。

自分のスタイルに合わせて投資ができるFXですので、資金量は人それぞれ。自分が「いくらまでの損失に耐えられるのか」、「その金額は10万円までなのか100万円までなのか」をきちんと把握して、ラインを引いておきましょう。

ではここで、損切りの具体例を挙げてみましょう。

FXでは、一般的に証拠金の10%程度の含み損が出たら、一度損切りをして、ポジション(持ち高)を取り直すのがよいと言われています。

例えば、1ドル105円の時に、レバレッジ10倍で1万ドル購入したとします。

この場合の証拠金は、

≪取引額≫
105円×1万ドル=105万円

≪証拠金≫
105万円÷10倍(レバレッジ)=10万5千円

となります。
証拠金の10%の含み損が出たら、損切りした方が良いということですから、

 10万5千円×0.1(10%)=1万500円

つまり、1万500円の含み損が出たら、損切りすべしということになります。
では、どのくらいレートが下がったら1万500円の含み損が発生するのかというと、

 1万500円÷1万ドル=1.05円

となるので、105円だった相場が1.05円下がった時点が、損切りのタイミングというわけです。

なぜ含み損の許容範囲が10%とされているかというと、FX取引では、10%の損失なら簡単に取り戻せる可能性があるからなのです。ですが、仮に50%以上の損失が出たら元の証拠金の金額まで戻すのはとても大変になります。

テクニカル分析などができる人はトレンドラインを引いてみたり、移動平均線を確認するのも良いでしょう。相場の流れが変わってきて、下げ始めたなと感じたら、損切り注文をすぐに入れたほうが安全です。

では次に、取引ごとでの損切り方法を考えてみましょう。

例えば短期売買でFX取引をしている人の多くは、指値や逆指値の注文機能を利用して、機械的に「レートがいくら下がったら損切りで、いくら上がったら利益確定」というルールを決めていることが多いようです。

反対にレバレッジを低く設定した取引や、外貨預金など数年程度じっくり寝かせる取引をする場合は、強制決済などの心配が少ないので、損切りせずそのままじっくり持っておくのもよい方法です。
これは、ある程度の含み損は気にせず、数年後に増えていれば問題ないという長期投資ならではの考えによるものですね。

そうは言っても、サブプライムショックのような急暴落が起こることもないとは言えません。強制決済されないためにも、仕事でなかなか相場を見ることができない人などは、あらかじめ逆指値を利用して損切り注文を入れておいた方がよいでしょう。

また、FX市場は24時間マーケットが動いているので、寝ている間などに相場が大きく変動するといったこともあるかもしれません。
大きな変動が起こって、取り返しのつかない事態になってからでは手の尽くしようがありませんが、逆指値の注文機能を使って売り注文を出しておけば、自動的に自分の指定した値段で決済できます。その結果、損失が大きくなりすぎず、リスクヘッジに繋がるのです。

なお、逆指値で指定した値段が、大きな暴落などにより多少値が飛ぶ(指定した値段で成立せず、高値買い、安値売りになってしまう)こともあるかもしれませんが、ほとんどの場合、指定した値段で注文が通ります。ですので、自分が持っているポジションがどれほどの相場変動で、どのくらいの損失になるかは、ポジションを持ったときから計算できます。

FX取引においては、「証拠金が○円で、○円まで相場が動くと、損失が○円くらいになるから、○円あたりの値段で損失を確定させておかないと危険だな」というように逆算してリスクを考えることも重要なのです。

損切りは、自分の投資期間や資金量などに合わせてうまく使うことで、深い傷を負わずに済みます。結果、楽しくFX取引が続けられますので、是非使ってみてください。

≪次回予告≫
山根亜希子流・ニュースの目のつけどころ
山根亜希子
1973年大阪生まれ
京都工芸繊維大学繊維学部高分子学科卒
サイエンスライターとして6年間東京勤務(文部科学省記者クラブ所属)
科学技術関連の記事の執筆などを行う。
その後、大阪に戻り失業中にFXを始める。
現在、(有)ユビキタストレーディング代表。
趣味はアロマテラピー、海外旅行

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